《難攻不落》っ!!! トーキョーNOVA the Detonation リプレイ魔術争乱“りて らぬがゆえ”

■Ending#3
メインキャスト:アゼル&UR
シーンカード:ヒルコ(夜明け)
舞台:●ホテル
《難攻不落》っ!!!TOPトーキョーNOVAオンラインセッションリプレイ魔術争乱“霧りて 中らぬがゆえ”エンディングフェイズ3rd

アゼル: あの闘いから数日―――…URの傷の具合も気になり、自らの宿泊場所で、寝食を共にしている。

UR: ベッドに腰掛け、膝に置いた水霊教典儀を撫でつける。
UR: 彼女もまた、自分を恨んでいるのだろうか。
UR: 故郷を失い、護るべき者も、存在する意義すら奪ってしまった自分を。

RL伏見堂: 判らない。―――それは彼女の口から聞くべき言葉だろうから。そして、彼女はそれを語らない。



アゼル: 「………」URの横に座る。ベッドか軽く悲鳴を挙げ、きしむ。
UR: 「――アゼル」

UR: 不安げにそちらを向く。――怖い。恨まれ、恨み続けた故の行動でると告げられる。嘗ての同胞にそれを告げられるのは恐ろしい。
UR: それに、このような状態で聞くのは正しい事では……否、そうして恐れから自己を正当化しようとしているのか。

アゼル: 「………どうした」普段の様子からは想像もできない表情。だが、そんな表情もできた事に、少し安堵する。

UR: 視線をLAGUへと落とす。「嘗ては同胞であった……」
UR: 「人であるならば、姉と言っても良い存在なのだろう。」
アゼル: 「………ん…」

UR: 視線を落としたまま、いや上げる事ができずに言葉を続ける。「彼本の…否、LAGUだけではない。………我は、…同胞達の、希望を、…希望を摘み取ってしまった。」
UR: 「楽園を滅ぼしたのは、我の腕(かいな)だ。」

アゼル: 少女の独白に耳を傾ける。それは永い時を闘い続けた魔導書の、こころの叫びなのだろう。

UR: 「契約者の願いも、同胞達の意義も、神々の意志も、我が!…我が摘み取ってしまった。」
UR: 「我が帰るべき楽園は、もう、――亡い。我が滅ぼしてしまったのだから。――ただ」
UR: 「ただ、戦う、戦い続ける事だけが、彼等の遺志を繋ぐ事ができる。楽園の存在を失わせずに済む。と……」

アゼル: 「―――…」

UR: 「…LAGU、…Noxの言う通り、真に楽園を産む事ができるならば――」
UR: 「――彼等に帰る場所が蘇るならば」手を伸ばし、縋る
UR: 「我は、―――」

アゼル: ぎゅ、と
アゼル: 胸に、少女の頭を、抱く。

UR: 「どうすれば、いい…」躰ごと震わせ、しゃくる。



アゼル: 銀糸を流したような美しい髪を梳きながら、思う。
アゼル: 彼女は、ずっと背負ってきたのだろう。久遠の時の中で―――ずっと、自らを責めて。

UR: 迷う事など無かったはずだ。神も書も楽園の為にただ在ったのだから。
UR: その事に疑問など在りはしなかった。――はずなのだ。
UR: 罪を負うのは恐ろしくは無かった。
UR: 罰を受けるのは苦しくは無かった。
UR: なのに何故、愛する事は、こうも辛い。
UR: 楽園の為に“在る”彼等と戦うのは罪ではないのか?
UR: 楽園を産もうとする彼等に反するのは罰に値しはしないのか?
UR: それなのに、ただ――

UR:  ――失いたくない。 失いたくない。…失いたく… ――



アゼル: 腕の中の魔導書―――…一つの人格を持ち、長い記憶の果てに、心を摩耗していく少女。
アゼル: 彼女を思えば、それだけ彼女は苦しむ。なにもかもを背負い、そして身も心も削り―――
アゼル: どうすればいい、どうしてやればいい。どうすれば彼女を救ってやれる。
アゼル: ままならぬ人の身であることが、口惜しい。
アゼル: 抱く少女から香る匂いは、何処か昔に嗅いだ匂い―――…“楽園”のものだ。
アゼル: 少女の髪に顔を埋めるように、抱き―――…少しでも少女と同じものを感じていたかった。

UR: 安寧――許されざる身にあるまじき。
UR: それこそが――

UR:         ――罰。

UR: 喩え、そうと識っていても、抱かれ、抱かずにはいられなかった。



アゼル: 「―――…UR…」
UR: 「―――…アゼ、ル…」

アゼル: 今にも泣き出しそうな少女に、そっと顔を近づける。
UR: 間近に息づかいを感じる。それは一時の安寧に過ぎない。意義を失った者達が持たざる安寧。――酷く背徳ですらある。
アゼル: 始めは頬に、次は額に。唇を当てていく。
アゼル: こんなことで彼女をいやせるわけではないが、それでも―――
UR: 顎を上げ、求める。――なんと弱々しく情けない。それでも―――

アゼル: 瞼を吸い、唇を―――…重ねた。





トーキョーN◎VA the Detonation
───“りて らぬがゆえ”───





………X.Y.Z.


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