RL伏見堂： 白い。
RL伏見堂： 窓の外から見える世界は、白の幕に覆われ、それ以外の色彩を許さない。
RL伏見堂： 極冠、ドゥームドモスク……世界最大の宗教･真教の聖地にして、悪しき闇を駆る狩人達の砦

アゼル： 「―――…」 窓の外で荒れる雪を眺める。

アゼル： かつて自分はここにいたというのに
アゼル： 今では随分と寒い―――…あの街に、慣れたせいか。
RL伏見堂： 窓の前には一人の男が背を向け立っている。初老を過ぎ、白い髪の目立つその男は異端改宗局の長―――司教、ロベルト･マリーニ。



RL伏見堂： 「“光 -Lux-”―――…アゼル」

RL伏見堂： 部下の名を呼ぶ声は、厳格だ。この男は、幾多の部下を、同志を、葬ってきた男。その声には、威厳が篭る。

アゼル： 「……はい」
RL伏見堂： 「―――向こうは、どうだ」
アゼル： 「…………」 答に困る。どう、答えるべきか。
RL伏見堂： 「……相変わらずだな。…その無口は」

RL伏見堂： 老人が振り向く。その目には、わずかの隙も無い―――が、口元は笑っていた。
RL伏見堂： 問題児ほど可愛いのか、異端改宗局に来たときには衝突もした、が―――この男は君の事を分かっていた。

RL伏見堂： 「―――…聖務だ」　マリーニは一枚の書類を放り投げる。

アゼル： 直接モスクに呼ばれるほどの聖務―――…よほどの重要な任務か。
アゼル： 書類を受け取り、目を通す。
RL伏見堂： そこには一冊の魔導書のことが書かれていた。

RL伏見堂： 　　“災魔文書”

RL伏見堂： ―――…力ある魔導書、神を呼び込む外法の集大成。
RL伏見堂： それについての記述されている。



RL伏見堂： 「…“The Scripture of IANIAS ET VACUA”は、置いてきたのか？」 アゼル： 「―――…アイツは…」 懐で、何かがざわ、と動く。

UR： ――魔導書は、魔術師と共に在り。聖職にある者ならば知れている事であろう？――

RL伏見堂： 「傲慢にして不遜だな、“魔導書 -Grimoire-”」

RL伏見堂： 男は笑う。獲物を前にした猟師の如く。

RL伏見堂： 「―――…赴任地へは、共にいけ。―――…ソイツがいなければ、話にもならん」
RL伏見堂： 「―――魔法都市AGARUTA。…件の魔導書は、そこでオークションにかけられている」
RL伏見堂： 「“聖務は一つ -Order is Only One-”　妨害が予想されるが、必ず入手しろ―――以上だ」

アゼル： 「―――…御命、了承しました」 カッと踵を鳴らし―――その場を後にする。



アゼル： ―――AGARUTA。
アゼル： 自分の始まりの場所。
アゼル： そして―――
アゼル： 過去への、手がかり。

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