イスカ： ――目が覚めると、すべては終わっていた。
イスカ： 朝日が差し込み、また、新しい一日が始まったのだと確認する。

イスカ： 部屋を見渡すと、どこか懐かしいつくりの構造だった。この趣きには、見覚えがある。

RL伏見堂： 「────起きたかね」
イスカ： 「へぇ、また世話ンなっちまいやしたようで」

イスカ： へらっと、表情を緩ませる。
イスカ： 光の差し込む方を見遣り、どこか遠くを見るように呟く。

RL伏見堂： 「気にするな。…朝餉を用意してある。食べていくかね？」
イスカ： 「あぁ、んじゃあご馳走になりやしょうかねぇ。…朝食なんざ、トンとご無沙汰してらぁ」

RL伏見堂： 質素な、だが懐かしい食事だ。

イスカ： 「やつぁ、どうやら巧くやってくれたようだねぇ…」
RL伏見堂： 「────戯れに問うが、イスカ」

RL伏見堂： 味噌汁を飲みながら、ヨーシュが尋ねる。

イスカ： 「んぁ？　なんでぇやぶからぼうに」

イスカ： 同じく、味噌汁を啜りながら。

RL伏見堂： 「今回の件で、得るものはあったかね？」
イスカ： 「さぁねぇ。失うものも、多かったもんでさぁ…。」

イスカ： 焼き魚にかぶりつく。ゆずの香りが香ばしく、鼻腔をくすぐる。

RL伏見堂： 「そうか────」

RL伏見堂： それっきりヨーシュは口を開かず、食事に没頭する。

イスカ： 「まぁ、得るもんがあったとすりゃあ――」
イスカ： 「いま、この瞬間っつう、この場所じゃあないですかねぇ…」

イスカ： たくあんを、ひとかじり。

RL伏見堂： 「ふむ────」

RL伏見堂： 同じようにかじり、満足そうにうなずく。

RL伏見堂： 「────良い答えだ」
イスカ： 「得るものってのぁ、そん時その瞬間。得ている事に、案外気がつかないものでござんすよ…」

イスカ： 白米をかきこみ、口の中で躍らせる。

RL伏見堂： 「そして失って初めて気づく、か────」　茶を一口啜る。香ばしい。
RL伏見堂： 「────…人生は深いもの。自分にしても、まだようやく歩き始めたと自覚した程度だ」

イスカ： 「えぇ。常に、得ているからこそ――っと、あいたたた！？」
RL伏見堂： 「骨でも刺さったかね」

イスカ： 突如、頬を押さえて顔をしかめる。

イスカ： 「いんやぁ、慣れねぇ事を言っちまったもんでさ。舌がつっちまったィ」
RL伏見堂： 「馬鹿者」

イスカ： 「そういってくれるねぇ。性分でさぁ」かんらかんらと、あっけらかんと笑い飛ばす。
RL伏見堂： 「────そうだな。それが君の持ち味だ。その“持ち味 -Style-”は貫きたまえ」

RL伏見堂： そういって、ヨーシュも破顔する。

イスカ： 「…ったりめぇさぁ」

イスカ： 最後に、煎じ茶を口に運び。「いつものように訪れた」朝食を終える。

イスカ： 「さってと、それじゃあそろそろ。ご馳走になりやして。」

イスカ： 腰を上げ、身支度を始める。

RL伏見堂： 「行くのかね」
イスカ： 「えぇ、もうちぃっと、やらなきゃあなんねぇ事があるもんでさぁ」
RL伏見堂： 「そうか────…近くにきたら、また寄りなさい」
イスカ： 「ここに居ついちまったら、それこそ根っこが生えちまっていけねぇしな」
イスカ： 「あぁ、飢え死にしそうになったら、また世話ンなりに来やすよ？」
RL伏見堂： 「そうしたまえ」

イスカ： 突き抜けるような、笑みを浮かべて。元上司の家を後にした。



イスカ： レッドゾーン、とある家の前にて。

イスカ： 「…すまねぇなぁ、見つけられたのぁ、これっぽっちしかなかったが…。」

イスカ： 手には、男性用の質素な、しかし確かな感情の込められた指輪が一つ。

イスカ： 「大変だろうが。あっしにゃあ何も出来ねぇが。何とか、強く生きて行っておくんなせぇ…」

イスカ： 《不可触》
イスカ： 道行く道は任侠道、心に背負うは浪花節。
イスカ： 魔をも切り裂く「黒杖」を、渡世行く行く道連れに。

イスカ： 流れ、流れて渡り鳥。今日もどこかの、空の下。（べべんっ）





RL伏見堂： ────…Scene End...

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