《難攻不落》っ!!! トーキョーNOVA the Detonation リプレイ 魔術争乱“妄りに誕まれ”
シーンカード:マヤカシ(幻影)
メインキャスト:ALL
舞台:トーキョーN◎VA
アゼル: 元に戻ったN◎VAの一画に、EOHと共に降り立つ。
颯花: 少し離れたところで風になびく髪とスカートを押さえながら、その様子を見ている
UR: 「戦いは」
UR: 「…終わった」その胎内にてアゼルと向き直り、そう告げる
アゼル: 「―――…ああ」
UR: 「汝が役目もこれで終わりだ。」
アゼル: 「―――…」
UR: 始まりの時と同じように、その頬に手を添え ――唇を重ね
UR: そして、そのまま離す。
UR: 「帰るが良い。――光り射す場所へ」
UR: 虚神の胸殻を開き、外界への道を示す。
アゼル: 背を向け、一歩、踏み出す。
アゼル: 見える空は、夜明けに染まり清々しい―――
アゼル: 「―――…UR」
UR: 「行け!…此処にはもう、お前の居場所はない。」
アゼル: 「―――…」
アゼル: 目を閉じる。
アゼル: 清々しい空、始まりを感じさせる光、暖かな空気。
アゼル: だが、それは―――この少女の知らないもの。
アゼル: 望んでも、得られないもの。
アゼル: 「―――…UR…」
UR: 「行ってくれ。是は我が望んだ事。…お前にはまだ帰れる場所がある。」
アゼル: 教えたかった。温かいものを、明るいものを、きれいなものを―――
アゼル: 彼女一人がそれを知らないのは、何故か、ゆるせなかった
アゼル: 「―――…来てくれ」
アゼル: 振り向き、手を伸ばす。
アゼル: 「―――俺は、まだ、オマエと在りたい」
UR: 「…――行けるわけ、なかろ? 我はお前の全てを奪う。………お前は、多くのモノを持ちすぎている。」
アゼル: 「…なら―――…」
アゼル: 口元を歪める。久々の笑みは、どこか不器用な形になってしまう。…また、思いだしていこう。
アゼル: 「―――…それを―――…オマエが、俺にわけてくれ」
UR: 「…馬鹿者が。我にそれは適わぬ。我はただ奪う事しかできぬ。」うつむき答える。
アゼル: 「―――…」手を、差し出す。
アゼル: 「―――…できる。…オマエなら」
アゼル: 何の根拠もないのに
アゼル: ただ、純粋に
アゼル: 無垢の信頼を寄せ、言の葉に載せる。
アゼル: 「―――…共に、行こう」
UR: できるはずがない。
UR: 長きに永きに渡って続けて来た事。我はただ奪い、戦いへと駆り立て、そして共に戦う者の死を見続けてきた
UR: この男が例外になる事などありえはなしない
UR: それなのに
UR: その手をとってしまった。
UR: 風がふき、外の風を暗がりへと運ぶ。
UR: それは、あり得るはず亡き原風景、失われた楽園で駆けた草原の香り。
UR: ――あの時もそうだった――
UR: 自らを導く男の胸へと顔を預け告げる
UR: 「…汝は卑怯だ」
アゼル: 「―――…よく、言われる」
UR: 涙は流れない。
UR: だが、止めどなく気持ちが溢れるのは何故なのだろうか
UR: 身体をアゼルへと預ける。
アゼル: 無垢な笑みで笑う。
アゼル: 地を見下ろせば、愛する人がいる。
アゼル: 嬉しい。その感情が心を満たす。
アゼル: 愛は一つだけではない。愛は育み、誰かの心に宿り、そしてまた芽吹く―――
颯花: 「もう……」 下から見上げている。 何を言っているか、会話は聞こえないが、内容は大体想像が付く。
アゼル: 早く、会いに行きたかった。URをそっと抱き上げ、機械の神より降りる―――
アゼル: 機神の双眸と眼があう。短く礼を呟き、着地。 颯花の前に歩いていく。
UR: 役目を終えた翼持つ鋼鉄の虚神は、朝の光に解け、消えていく。
UR: 仮初の眠りにつくのだ。次なる戦いに備えて。
アゼル: 消える神を背に―――颯花に言う
アゼル: 「―――…ただいま」
颯花: 「……おかえり。」
アゼル: 「颯花―――」
颯花: 「ん。」
アゼル: 「―――…すまん。オマエを、愛している。今も、これからも」
颯花: 「ふぅ。……今はそれで許してあげる。」
アゼル: 「……すまん」
アゼル: 浅く腕を拡げる。
颯花: 「ふふ。 お疲れ様。」 歩み寄り、後数歩分、開いていた距離を0にする。
アゼル: 「―――…ん」抱きしめる。
アゼル: 久方ぶりの彼女の温もり、柔らかさ、笑顔―――
アゼル: そのどれもが、自分には欠かせないモノだということに、時間が掛かった。
アゼル: 嬉しさから―――涙が零れる。
アゼル: 今、自分は―――
颯花: 「……馬鹿。泣く事無いじゃない」
アゼル: 「………ん」
アゼル: ―――…幸せに包まれていた
UR in舞台裏: 狡いな。
RL伏見堂in舞台裏: ずるいぜ、アゼル…