零一： “蛇”との約束通りに、
零一： アスカーリと共に帰還を果たした。
零一： 医者の言う事には、
零一： 全身裂傷だらけだが、命に別状はない。───ただし、戦線への復帰には、しばらく掛かるかもしれない。
零一： と言う見立てだった。




零一： 「………結果的には」
零一： 「───死ぬのを止めて正解だったな。」
零一： 　
零一： 『父親』の病床の枕元に立ち、苦笑と共に告げる。
零一： 　
零一： かの父親は、
零一： ふん、と鼻を鳴らした後───
零一： 　　　　　　　　　　　　　　───責任は果たせよ、とだけ、釘を刺してきた。
零一： 　
零一： それに首肯し、病室を後にする。




零一： 　　　　　　　　　　　　　　　　───サクッ、サクッ………
零一： 　
零一： 外は、また雪だった。








零一： 　　　　　　　　　　　　　　さくっ、さくっ………
零一： 　
零一： 　
零一： 目指すのは、森の中心。
零一： 　
零一： 　
零一： 其処に居るのは、この世界の鍵となる存在───
零一： 　
零一： 　
零一： 　　　　　　　　　　　　　　　「──────。」
零一： 　
零一： 　
零一： 「　　　　　　　　　　。」
零一： 　
零一： 　
零一： 手を伸ばし、その鼻に触れる。
零一： 　　　　　　　　　　　　細い舌が、零一の手に触れる。
零一： 　
零一： 　
零一： 　
零一： 互いの身を案じ───
零一： 　　　　　　　　　　　　───互いの大切な者を案じ───
零一： 　
零一： 　
零一： 　
零一： 　　　　　　　　　　　　───世界が
零一： 　　　　　　　　　　　　　　　　───人が、明日を望み───
零一： 　
零一： 　
零一： 　
零一： 　
零一： 　　　　　　　　今、ゆっくりと、運命の輪が回り始めた。

---