▽読み飛ばしてもOKな設定  それは、血を血で洗うような凄惨な戦場での出来事。  二柱の単眼の鬼神が凄惨な殺し合いを繰り広げていたのだ。  その鬼神は、其々、実の父親と息子。そして、鬼神皇とその皇子であった。  その戦争に巻き込まれ命を落とした人間は万を越えると言う。  その壮絶な殺し合いの果てに勝利したのは鬼の皇子。  だが、父皇は、死の間際に息子に呪いを掛けた。  「貴様も我と同じく、実の子に拠って滅ぼされるのだ。」  1000年生きたアヤカシが己の命をとして掛けた呪いに………だが、皇子は大笑した。  「俺に子供など居らぬ。世迷言を抜かせ!」  父皇の遺言を一笑にふし、笑い声は血と屍の溢れる丘に木霊したと言う。  ………だが、その3ヵ月後。  二人の決戦の地となった屍の丘で、二人の血を浴びた屍と、霊魂の狭間で蠢くものが現れた。  それは──二人の鬼神と同じ、片目の鬼。皇子の血を浴びた屍より生まれた、皇子の子。  呪われた娘の誕生を知った皇子──いや、簒奪した今では彼こそ皇──は、前よりも大きな声を響かせ笑った。  「お前が俺を殺す者か。」  生まれたばかりの娘に向かい問う鬼神皇。だが、娘の答えは  「──知らない。」  「ほぉ──」  笑い掛けた鬼に向かい、だが娘は続けた。  「………でも、貴方は嫌い。」  そして………再び親子の、父と娘の殺し合いが始まった。  ………未だ決着は付いていない。現在は、その過程なのだ。  時に父皇は刺客を差し向け、少女の命を狙う。  少女はそれを迎え撃ちながら、今は姿を消した父親の居場所を探している。